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うずひこ
管理人
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【ジブリの真実】宮崎駿は、なぜ高畑勲を必要としたのか? あなたの知らない“二人の天才”の物語

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うずひこ

ねぇ、世間の人って、やっぱり『ジブリといえば宮崎駿』ってイメージが強いよね。『トトロ』とか『ラピュタ』とかさ

隣に座る妻が、呆れたようにため息をついた。

だから素人は困るのよ。片目だけで名画を観ているようなものだわ。宮崎駿を語るなら、高畑勲を語らないなんてあり得ない。本当の物語は、一人の天才の話じゃない。二人の天才が、いかにお互いを必要とし、反発し、そして高め合ったか、という関係性の話なの

うずひこ

……だよね! まさに僕が今度の記事で書きたかったのは、そのことなんだ。多くの人が知らない、ジブリの“もう半分の物語”を

「ふん、やっと本質に触れる気になったのね。お手並み拝見といきましょうか」

というわけで、今回のテーマは、スタジオジブリの魂そのものと言っても過言ではない、宮崎駿と高畑勲の関係性です。

「ファンタジーの宮崎、リアリズムの高畑」という単純な二元論では決して見えてこない、二人の複雑で、創造的な相互依存関係。なぜ「創造性の天才」宮崎駿は、「批評性の天才」高畑勲を生涯にわたって必要とし続けたのか。

この記事を読み終える頃には、あなたの“ジブリ観”は根底から更新され、もう一度、全作品を見返したくなっているはずです。

目次

始まりは東映動画。天才アニメーターと東大卒のインテリ演出家

宮崎駿と高畑勲。二人の物語は、1963年、東映動画(現在の東映アニメーション)で始まります。

宮崎は、まだ駆け出しの新人アニメーター。一方の高畑は、東京大学を卒業したエリートで、すでに演出家としてのキャリアをスタートさせていました。本来なら交わることのなさそうな二人を結びつけたのは、社内の労働組合活動でした。

この初期段階で、二人の関係性の原型が作られたという点が極めて重要です。高畑は、若き宮崎にとって単なる会社の先輩ではありませんでした。社会や文学、芸術に対する鋭い分析眼を持つ、知的なリーダーであり、宮崎の無限に広がるイメージの世界に、現実社会という重しと倫理的な骨組みを与えた存在でした。宮崎作品の根底に流れる文明社会への批判的な視点や、自然との共存というテーマの骨格は、この時期の高畑との知的交流の中で育まれたのです。

二人の原点となった共同作業が、高畑の初監督作品『太陽の王子 ホルスの大冒険』(1968年)。宮崎は場面設計や原画という中心的な役割を担い、高畑が掲げた子供向けアニメの枠を遥かに超えた、社会性の高いテーマに理想を燃やしました。

しかし、結果は興行的な失敗。理想だけでは作品は成功しない。この苦い経験は、二人に決定的な教訓を残します。

  • 宮崎は、高畑の理想を追求する情熱を間近で見て、自身の創作の方向性を確信した。
  • 高畑は、芸術的な理想を実現するには、現場を動かす「現実のマネジメント」が不可欠だと痛感した。

この『ホルス』での体験が、後のジブリにおける二人の役割分担、つまり「創造の宮崎」と「批評・管理の高畑」という関係性の伏線となっていくのです。

ジブリ以前の革命。『アルプスの少女ハイジ』で描かれた“生活”という衝撃

ジブリ作品の魅力の一つに、ファンタジーの世界でありながら、なぜか強く感じられる「現実感」があります。『魔女の宅急便』でキキが作るパンケーキや、『ハウルの動く城』で焼かれるベーコンエッグ。あの“おいしそう”な描写は、ジブリ作品に共通する大きな魅力です。

この魅力の源流を辿ると、ジブリ設立より遥か前、1974年の『アルプスの少女ハイジ』に行き着きます。

東映動画を辞めた二人は、『世界名作劇場』シリーズで再びタッグを組みます。ここで監督を務めた高畑が徹底的にこだわったのが、「徹底的な生活描写」でした。

ハイジがチーズを溶かしてパンに乗せて食べるシーン。 ペーターがヤギの乳を搾る手つき。 フランクフルトの街の喧騒と、アルプスの山の静けさの対比。

これらはすべて、高畑と宮崎(場面設定・画面構成を担当)が、実際にヨーロッパへ飛んで入念なリサーチを行った成果です。彼らは、ただ物語をなぞるのではなく、その土地の空気、文化、人々の息づかいそのものをアニメーションで表現しようとしました。

これは、当時としては革命的な試みでした。アニメーションという虚構の世界に、「現実の生活が持つ重み」を持ち込んだのです。

この高畑のリアリズムへの執着が、後の宮崎のファンタジー作品に、圧倒的な説得力を与える土台となります。空飛ぶ城や不思議な生き物たちが、なぜあんなにもリアルに感じられるのか。その答えは、彼らが住む世界の“生活感”が、徹底的に描き込まれているからです。ジブリの真の凄さは、この高畑イズムなくしては語れません。

なぜ『ナウシカ』のプロデューサーは高畑勲でなければならなかったのか?

物語は核心へと入ります。1984年、映画『風の谷のナウシカ』の制作が決定。漫画家として絶大な人気を得ていた宮崎が、監督を引き受けるにあたり、絶対的な条件として提示したのが、高畑勲をプロデューサーに迎えることでした。

なぜでしょうか? 宮崎は、自身の創造性が時に暴走しかねない奔流だと自覚していました。だからこそ、その奔流を制御し、外部の商業的な圧力や雑音から自分を守ってくれる、知的で強固な“防波堤”が必要だったのです。宮崎は、高畑の厳格な批評精神こそが、自分の才能を最大限に発揮させるために不可欠だと理解していました。これは、高畑に対する究極の信頼の証と言えるでしょう。

こうしてプロデューサーに就任した高畑は、自身の役割を明確に定義します。

  • 宮崎駿(監督)プロダクトマネジメント(作品そのものの質、創造性の中心)に集中する。
  • 高畑勲(プロデューサー)プロジェクトマネジメント(制作全体の工程、予算、スケジュールの管理)に徹する。

しかし、高畑のマネジメントは通常のものではありませんでした。彼の目的は、会社の利益や納期遵守ではなく、ただ一点――宮崎駿の創造性を守り、作品の芸術的な完成度を最大化すること

そのためなら、制作の遅れや予算超過も厭わない。この、芸術合理性を最優先する特異なプロデュース体制こそが、後のスタジオジブリの制作スタイルの原型となったのです。二人の間には、切っても切れない非対称な依存関係がここに確立しました。

『トトロ』と『火垂るの墓』同時上映という狂気。ジブリの芸術的声明

スタジオジブリが設立され、いよいよ二人の天才がそれぞれの作品を監督として世に問う時代がやってきます。そして1988年、日本映画史に残る、あまりにも有名な“事件”が起きました。

となりのトトロ』(宮崎駿監督)と『火垂るの墓』(高畑勲監督)の同時上映です。

今考えても、これは狂気的ですらあります。 一方は、戦時下の日本の豊かな自然と子供たちの純粋な幸福を描く物語。 もう一方は、同じ戦時下で、すべてを失っていく兄妹の極限的な悲劇。

なぜ、こんな両極端な作品を同時に公開したのか。それは、スタジオジブリという存在が、単なるアニメ制作会社ではないという芸術的な声明でした。

「我々は、人間の喜びと悲しみの両極を、アニメーションという表現で描き切るスタジオである」という、強烈なアイデンティティの提示です。

しかし、この芸術的な試みは、興行面では大きな課題を生みました。『トトロ』を観て幸せな気持ちで満たされた観客は、その直後に『火垂るの墓』で突き落とされることを無意識に避けたのです。

ですが、この出来事が、ジブリの非常に重要な構造を明らかにします。 『トトロ』の商業的な成功(特に後のグッズ展開による収益)が、商業的にはリスクの高い高畑作品の制作を可能にしたのです。

つまり、宮崎の商業的成功が、高畑の非商業的で、批評性の高い芸術的挑戦を支えるという「経済的・芸術的な相互保険システム」が機能していました。ファンタジーで大衆の心を掴む宮崎駿と、リアリズムで観客に思索を強いる高畑勲。この二人が両輪として存在することこそ、スタジオジブリが唯一無二である理由なのです。

「絵を描く天才」と「絵を描かない演出家」。二人の決定的な違い

では、監督としての宮崎と高畑は、具体的に何がどう違ったのでしょうか。「ファンタジーとリアリズム」という対比は、本質の一部に過ぎません。作り手の視点で見ると、その違いはさらに鮮明になります。

宮崎駿:「絵を描く天才」と物語への没入

宮崎監督は、何よりもまず圧倒的なアニメーターです。頭の中にあるイメージを、躍動感あふれる線で描き出す「絵を描く天才」。物語は、彼が描く魅力的なイメージボード(絵コンテ)から生まれます。

  • 手法:作画主導。飛行、冒険といった神話的なテーマ。
  • 観客への要求:物語への没入、感動、カタルシス。
  • 目指すもの:普遍的なエンターテイメント。

宮崎作品は、観客を現実から解き放ち、夢と冒険の世界へといざないます。私たちは彼の作品に完全に没入し、心を揺さぶられる体験をするのです。

高畑勲:「絵を描かない演出家」と現実への思索

一方の高畑監督は、自らを「絵を描かない演出家」と称しました。彼の武器は、ペンではなく、徹底的なリサーチと緻密な分析です。彼は、アニメーションでどこまで現実を映し出せるか、虚構を通じていかに真実を語るか、という問いを生涯追求し続けました。

  • 手法:リサーチ主導。「生活描写」の追求。
  • 観客への要求:思考、批評的な考察、現実への直面。
  • 目指すもの:アニメーションによる写実性の探求。

高畑作品は、安易な感動を許しません。むしろ、私たちに「考えること」を強く求めます。『火垂るの墓』の清太はなぜ死なねばならなかったのか。『かぐや姫の物語』の姫が犯した罪と罰とは何か。鑑賞後、私たちは作品の世界を現実と地続きのものとして考えさせられるのです。

この二人の対比は、まさに「相補的な緊張」という言葉がふさわしい。 宮崎ファンタジーの説得力は、高畑イズムである「生活描写」のリアリティに支えられ、高畑作品の芸術的挑戦は、宮崎作品の商業的成功によって可能になる。この相互作用こそが、ジブリの黄金律だったのです。

永遠のライバル、そして大樹のような存在へ

2018年、高畑勲監督は天へと旅立ちました。 お別れの会で、宮崎駿監督は、涙ながらにこう語っています。

「パクさん(高畑さんの愛称)は僕らにとって大樹のような存在だった」

それは、単なる友人や先輩、プロデューサーへの言葉ではありません。自身の創造性を常に厳しく見つめ、進むべき方向を示してくれた「倫理の基準」に対する、最大の賛辞でした。

高畑の存在は、宮崎のファンタジーが内包する甘さや理想主義に対して、常に「現実の厳しさ」と「社会的な責任」という視点を突きつけました。 逆に、宮崎の圧倒的なエネルギーと商業的な力は、高畑が誰にも媚びず、難解で非商業的な芸術を追求し続けるための土壌を提供しました。

彼らの関係は、師弟関係から始まり、やがて対等な芸術家としての競争へ、そして最終的には互いの存在なくしては成立しない「弁証法的な創造性」へと昇華されたのです。

  • 宮崎駿は「どのように描くか」を極め、
  • 高畑勲は「何を描くべきか」を問い続けた。

この二つの問いがぶつかり合う火花の中に、スタジオジブリの本当の魂は宿っているのです。

【作品リスト】宮崎駿と高畑勲の監督作

宮崎駿と高畑勲、二人の天才が歩んだ創造の軌跡を、それぞれの監督作品を通して振り返ってみましょう。

以下のリストは、彼らが監督した長編作品を中心に、その作家性を理解する上で重要な作品をピックアップしたものです。時系列で追っていくことで、二人のテーマの深化や表現方法の進化が見えてくるはずです。二人の作風の違いを意識しながら見比べると、新たな発見があるでしょう。
※2025年10月7日時点の情報です。最新の配信状況は各VODサービスでご確認ください

宮崎駿監督の主な長編作品

絵を描く天才」として、自らペンを握り、圧倒的な画力とイマジネーションで、観客をファンタジーの世界へと誘う作品群。躍動感あふれるアクション、空を飛ぶことへの憧れ、強い意志を持つヒロイン、そしてその根底に流れる文明批評や自然への畏敬の念が特徴です。

風の谷のナウシカ (1984年)

ジブリ設立の礎となった作品。文明の崩壊後、汚染された世界で生きる人々の姿を通じ、自然と人間の共生という壮大なテーマを打ち出した。高畑勲がプロデューサーとして、宮崎の奔放な創造性を現実のフィルムへと着地させた点も極めて重要。

  • スタジオジブリの前身トップクラフトが制作。残念ながら、現在視聴できるVODサービスはありません。

天空の城ラピュタ (1986年)

胸躍る冒険活劇の最高峰。スチームパンク的なガジェットと失われた超文明へのロマンを融合させ、少年少女の出会いと成長を描く。テクノロジーがもたらす光と闇という、その後の作品にも通じる二面性を提示した。

  • スタジオジブリ制作。残念ながら、現在視聴できるVODサービスはありません。

となりのトトロ (1988年)

日本の原風景を舞台に、子供にしか見えない不思議な生き物との交流を温かく描く。明確な悪役や葛藤を排し、日常の中に潜むファンタジーと家族の愛情、自然への畏敬の念だけで物語を成立させた、稀有な傑作。

  • スタジオジブリ制作。残念ながら、現在視聴できるVODサービスはありません。

魔女の宅急便 (1989年)

少女の「自立」を、仕事や生活を通して現実的に描く。魔法という才能を、社会の中でいかに活かし、スランプを乗り越えていくかという普遍的なテーマを扱い、多くの若者の共感を呼んだ。ファンタジーと日常の絶妙なバランス感覚が光る。

  • スタジオジブリ制作。残念ながら、現在視聴できるVODサービスはありません。

紅の豚 (1992年)

監督自身の趣味やダンディズムが色濃く反映された異色作。ファシズムが台頭する時代の空気の中、国家や組織に属さず「豚であること」を選ぶ主人公の姿に、個人として生きる矜持とロマン、そして中年男の悲哀を込めた。

  • スタジオジブリ制作。残念ながら、現在視聴できるVODサービスはありません。

もののけ姫 (1997年)

「生きろ」という強烈なメッセージと共に、自然と人間の決して相容れない関係を、妥協なく描ききった野心作。単純な善悪二元論を徹底的に排し、双方の「正義」がぶつかり合う様を克明に描写。日本映画の興行記録を塗り替えた。

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千と千尋の神隠し (2001年)

ベルリン国際映画祭金熊賞受賞。八百万の神々が集う湯屋という異世界を舞台に、少女が名前を奪われ、働くことを通して自己を取り戻していく物語。現代社会が失いつつある土着の文化や労働の価値を、圧倒的な映像美で描き出した。

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ハウルの動く城 (2004年)

戦火の中での愛をテーマに、魔法と科学が混在する世界を描く。原作を大胆にアレンジし、物語の背景に反戦のメッセージを色濃く反映させた。老いやコンプレックスを抱えた登場人物たちが、愛によって変化していく様が描かれる。

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崖の上のポニョ (2008年)

CGを極力排し、生命感あふれる手描きの線を追求。幼い子供の純粋な視点から、海の世界の混沌と生命の根源的なエネルギーを瑞々しく描き出した。理屈を超えた「好き」という感情が世界を変える力を、圧倒的な肯定感で祝福する。

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風立ちぬ (2013年)

実在の零戦設計者をモデルに、夢に忠実に生きた技術者の人生を描く。美しい飛行機を作りたいという純粋な夢が、戦争の道具を生み出すという矛盾と悲劇を内包しており、「呪われた夢」という重いテーマに正面から向き合った。

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君たちはどう生きるか (2023年)

10年ぶりの長編監督復帰作。自伝的要素を色濃く反映した、幻想的で難解な冒険譚。戦争の喪失感、創造の苦悩、そして次世代に何を手渡すのかという問いを、シュールなイメージの連鎖で描き出す。宮崎駿の作家人生の集大成ともいえる作品であり、米国アカデミー賞長編アニメーション映画賞を受賞した。

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高畑勲監督の主な長編作品

絵を描かない演出家」として、徹底的なリサーチと分析に基づき、アニメーションによるリアリズムの極限を追求した作品群。人間の日常、特に「生活」そのものを丹念に描写し、観客に安易な感動ではなく、深い思索を促すのが特徴です。

太陽の王子 ホルスの大冒険 (1968年)

高畑勲の初監督長編。宮崎駿とタッグを組み、子供向けアニメの枠を遥かに超えた、共同体や連帯といった社会性の高いテーマに挑んだ。興行的には成功しなかったが、後の日本のアニメーションに絶大な影響を与えた伝説的作品。

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じゃりン子チエ (1981年)

大阪の下町を舞台に、たくましく生きる少女チエの日常をエネルギッシュに描く。登場人物の会話や生活描写の徹底的なリアリティは、まさに高畑演出の真骨頂。庶民の生活が持つ喜怒哀楽と生命力を、愛情深く描き切った。

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火垂るの墓 (1988年)

戦争の悲劇を、兄妹の視点から一切の感傷やヒロイズムを排して描き、観る者に強烈な問いを突きつける。これは反戦映画であると同時に、社会から孤立していく個人の悲劇を描いた物語でもあり、アニメーションが到達したリアリズムの極致。

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おもひでぽろぽろ (1991年)

27歳のOLの現在と小学5年生の過去の思い出を交錯させるという画期的な構成で、一人の女性の人生と内面を丹念に描く。アニメーションで大人の、特に女性のリアルな心理描写に挑み、その表現の可能性を大きく押し広げた。

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平成狸合戦ぽんぽこ (1994年)

人間のためのニュータウン開発によって住処を追われる狸たちの奮闘を、ドキュメンタリーのナレーションを交えながら描く。狸の伝承を巧みに使い、自然破壊と失われる故郷という現代的なテーマに切り込んだ社会派エンターテイメント。

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ホーホケキョ となりの山田くん (1999年)

4コマ漫画を原作に、デジタル技術を駆使して水彩画のような淡いスケッチ風のタッチを全編で実現。大きな物語ではなく、普遍的な「家族の日常」にある何気ない一コマ一コマを、俳句のような味わい深さで描き出した。

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かぐや姫の物語 (2013年)

構想8年をかけた大作。日本の古典を題材に、水墨画が動き出したかのような革新的な描線で、姫の感情の躍動を描ききった。この地上で生きることの喜びと悲しみ、その両方を含んだ「生」の輝きを問いかける、高畑勲の遺作にして集大成。

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「ジブリ作品って、どうしてVODにないの?」って不思議ですよね。その気になる理由と今後の展望を、こちらの記事で詳しく解説しています。
ジブリ作品は何故配信されない?

おわりに:もう一度、ジブリの扉を開けてみませんか?

宮崎駿と高畑勲。この二人の天才が織りなした、複雑で、創造的で、そして何よりも人間的な物語。ここまで、その一端を紐解いてきました。
もし、あなたがこれまで「ファンタジーの宮崎、リアリズムの高畑」と単純に分けて考えていたなら。 もし、『火垂るの墓』や『かぐや姫の物語』を敬遠していたなら。
ぜひ、この新しい視点を持って、もう一度ジブリの作品に触れてみてください。 きっと、今まで見えていなかったディテールや、キャラクターたちの行動の裏にある哲学、そして二人の天才の魂の対話が聞こえてくるはずです。

日本のVODでジブリ作品が観られないのは、とても残念ですよね。でも見方を変えれば、これはまだ知らない素敵な物語と出会う、最高のきっかけになると思いませんか?
「もっと色々なネット配信サービスを知りたい!」という方は、当サイトのメイン記事VOD15社徹底比較をぜひチェックしてみてください。
ドラマだけでなく映画やアニメも幅広くご紹介しているので、あなたのネット配信の世界がグッと広がりますよ!

このブログでは、これからもあなたのVOD選びのパートナーとして、様々な角度から有益な情報をお届けしていきます。

本ページの情報は2025年10月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。

うずひこ

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