「1秒先の彼」リメイク版とオリジナルの魅力の違いとは？ネタバレ、ロケ地情報もお届け

あらすじ（時系列）

幼い頃、交通事故で両親を亡くし、自身も入院していたレイカちゃん。同室には、心遣いの優しいお兄さん、ハジメくんがいました。ハジメくんが退院することになり、二人は郵便局の私書箱で文通をすることになりますが、ハジメくんはいつの間にかその約束を忘れてしまいます。

ハジメくんが学生の頃、お父さんは失踪してしまいました。深く心に傷を負ったということもなく、今は郵便局で楽しく働いています。 ハジメくんは容姿端麗でモテますが、せっかちがあだとなり、恋愛がうまくいきません。 「女ひとり」を路上で弾き語りしている桜子に舞い上がるハジメくん。しかし、彼女は成功のためには手段を選ばない人物でした。

大学生になったレイカちゃんは、偶然にもハジメくんを見つけます。彼女は貧困学生のため、内緒で大学の部室で寝泊まりしています。昔の約束を果たすため、ハジメくんが働いている郵便局に通いますが、ハジメくんは全く彼女に気づきません。

ハジメくんが桜子ちゃんとデートの約束をした日、その気のない桜子ちゃんにレイカちゃんは怒りをぶつけます。

デート当日、約束の場所へ向かう途中のバスの中でハジメくんの時間は止まります。同時刻、レイカちゃんは動きの止まった世界の中でハジメくんを探します。バスの中にいるハジメくんを見つけたレイカちゃん。レイカちゃんと同じように動きの止まった世界の中で動くことのできるバス運転手のミクルベさんに天橋立までの運転を依頼します。

レイカちゃんは昔約束した場所で長年の夢を形にしていきます。満足したレイカちゃんは帰りのバスの中で同じく、この世界で動ける人物に気が付きます。それは、失踪したハジメくんのお父さんで旧姓：勘解由小路さん「勘解由小路平兵衛」で73画。（レイカちゃん：長宗我部麗華63画、ミクルベさん：釈迦牟尼仏憲51画）

ハジメくんのお父さんが教えてくれました。「画数の多い人は記名する時に人より時間を損している。神様がそれを返してくれているので私たちは動けている」付け加えて「ハジメは周りよりワンテンポが早い、だから神様に時間を返さなくてはいけない」と。

翌日、ハジメくんは寝坊して目覚めます。顔、腕は日焼けで真っ赤。靴の中は砂だらけ。訳の分からないハジメくんは桜子ちゃんと約束した場所へ急ぎます。 しかし、ハジメくん以外はみな月曜日。神様に日曜日一日を返してしまったハジメくんは途方に暮れます。そんな折、写真屋さんに飾られているハジメくんの写真を発見。そこには行った覚えのない海岸でポーズを決めるハジメくんが映っていたのです。

写真屋の店主から聞いた情報をもとに、いつも郵便局に来る女の子が撮った写真だと気が付きます。彼女が出した手紙は天橋立郵便局宛。

私書箱に入っていた手紙の山から、ハジメくんは昔の約束を思い出し、天橋立郵便局でレイカちゃんを待ち続けます。レイカちゃんは事故に遭い、天橋立郵便局を訪れたのは一年後の花火大会前日でした。

今年は、ハジメくんもレイカちゃんも一人ではないかもしれません。

ロケ地

京都が舞台となっている今作品。京都市観光協会によるコラボページが公開されています。詳細はこちら。

その他ロケ地

• 郵便局：日本郵政の協力が得られなく、倉庫と廃屋を利用しているそうです。情報元はこちら。
• レイカちゃんが住んでいる大学：立命館大学衣笠キャンパス

男女の設定変更

台湾版、本家「一秒先の彼女(消失的情人節)」では、郵便局で働くのは女性のシャオチー、郵便局に通うのは男性でバス運転手のグアタイとなっています。この男女逆転に関して脚本家の宮藤官九郎さんは作品ホームページのコメントで以下のように述べています。

配役で煮詰まり「男女の役を入れ替えるというのはどうでしょう」と提案された時、
自分でもなぜだか分からないのですが「ヒロインが岡田将生くんなら、それもアリですね」と答えました。
岡田くんには不思議な〝ヒロイン感〟があると思ったのと、
郵便局の窓口に岡田くんが不満げな顔で座っている様が容易に想像できたからです。
「で、本当のヒロインは清原果耶さんに当たろうかと」おお！その手があったか！
清原さんなら、この珍奇なファンタジーに観客を自然に誘導してくれそう。
生き急ぐ岡田将生とモタモタする清原果耶。一秒先の彼なのか一秒前の彼女なのか。とにかく楽しく書けそうだ。

引用：bitters.co.jp/ichi-kare/

ラストシーン

ラストシーンに関して脚本家の宮藤官九郎さんは「ゴールは一緒のはず」と述べていますが、個人的にはその印象が異なります。
本家「一秒先の彼女(消失的情人節)」では、ラストに「自分を愛そう、あなたを愛する人がいるから」と表示され、クレジットが流れます。このシーンでは、思わず涙がこぼれました。
主人公の二人は、他の人より速く行動してしまうことや、逆に遅く行動してしまうことで、社会でうまく折り合いをつけることができず、孤独に生きています。本家では、この孤独感を真っ向から否定するラストが描かれています。 一方、リメイク版の本作では、「きっと今年は一人じゃないのだな」と思わせるラストシーンで、心が温かくなりました。観終わった後にほっこりとした気持ちになる作品です。