妻ねえあなた、この映画のあらすじ見たけど、これって是枝監督の『怪物』とそっくりじゃない? 教師が暴力をしたとか、親が学校に怒鳴り込むとか
夕食後、妻がタブレットを見ながら不思議そうに問いかけてきました。
うずひこおっ、いいところに気がついたね。確かに設定は似ているけれど、見終わった後の『味』は全くの別物だよ。『怪物』が霧の中を彷徨うような映画なら、『でっちあげ』はその霧を業火で焼き払って、焼け野原を見せつけられるような……そんな強烈な体験だったなぁ
今回は、映画『でっちあげ』を徹底解剖します。
是枝裕和監督の『怪物』との比較、原作となった実話事件の恐ろしさ、そして主演・綾野剛さんの怪演について。ネタバレを含めて、その深淵を紐解いていきます。
映画『でっちあげ』作品情報と配信状況
まずは、本作の基本データと、現時点での視聴方法を整理しておきます。
作品概要データ
- 公開日または配信開始日:2025年6月27日
- ジャンル:サスペンス / ヒューマンドラマ
- カテゴリー:映画
- 上映時間:129分
- 制作国:日本
- 年齢制限:13+
- キャスト:
- 薮下誠一:綾野剛(『ヤクザと家族 The Family』『日本で一番悪い奴ら』『コウノドリ』)
- 氷室律子:柴咲コウ(『バトル・ロワイアル』『着信アリ』『ガリレオ』)
- 鳴海三千彦:亀梨和也(『怪物の木こり』『ジョーカー・ゲーム』)
- 湯神谷敏夫:小林薫(『深夜食堂』)
- 監督:三池崇史(『クローズZERO』『悪の教典』)
どこで見れる?配信サービス状況
本作は現在、Netflixでの独占配信中です(2026年1月時点)。
U-NEXT、Amazon Prime Videoなど他の動画配信サービスでは、レンタルを含めて視聴することはできません。
- Netflix:見放題配信中
- U-NEXT:配信なし
- Amazon Prime Video:配信なし
- Hulu:配信なし
視聴するにはNetflixへの登録が必要です。

徹底考察:『でっちあげ』と『怪物』の比較文化論
多くの映画ファンが指摘する通り、本作は2023年の是枝裕和監督作品『怪物』と鏡のような関係にあります。しかし、その描かれ方は対照的と言っても過言ではありません。
「霧の中の真実」vs「焼け野原の真実」
『怪物』は、視点を変えることで「誰もが悪意を持っていたわけではない」という、複雑な人間模様を描き出しました。真実は藪の中、あるいは霧の中にあり、観客はその曖昧さに心を揺さぶられます。
対して、三池崇史監督の『でっちあげ』はどうでしょうか。
本作は、2003年に福岡で実際に起きた「殺人教師事件」をベースにした、福田ますみ著『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』(新潮文庫)を原作としています。

出典:Amazon.com

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三池監督が描いたのは、悪意は、確かにそこに存在するという残酷な現実です。
- 『怪物』のアプローチ:誤解とすれ違いが悲劇を生む(性善説的アプローチ)。
- 『でっちあげ』のアプローチ:明確な悪意と集団ヒステリーが、一人の人間を社会的に抹殺する(性悪説的アプローチ)。
『怪物』で描かれた霧を、三池監督はバイオレンスと絶叫で吹き飛ばし、「ほら見ろ、ここに怪物がいただろう?」と、焼け野原に立つ私たちに突きつけてくるのです。
羅生門的構造の「その先」
両作品とも、黒澤明の『羅生門』のように、視点によって事実が異なって見える構造を採用しています。
しかし、『でっちあげ』の恐ろしさは、嘘をついている人間が、自分が嘘をついていると自覚しながら、涙を流して被害者を演じる瞬間を、カメラがクローズアップで捉え続ける点にあります。
特に、モンスターペアレントと呼ばれる保護者が、メディアを巻き込んで教師を追い詰めていく過程は、ホラー映画以上の恐怖です。「世論」という名の怪物が誕生する瞬間を、私たちは目撃することになります。
この「メディアと世間の暴走」というテーマは、映画『ミッシング』でも描かれた現代的な恐怖です。
三池演出が光る!映像トリックと「不快感」の正体
三池崇史監督といえば、暴力描写や過激な演出がトレードマークですが、本作ではその矛先が少し違います。
閉塞感を生むカメラワーク
本作のカメラは、常に登場人物の顔に寄りすぎています。教師(綾野剛)が職員室で糾弾されるシーンでは、逃げ場のない圧迫感を表現するために、あえて広角レンズで顔を歪ませて映しています。これにより、観客は彼が感じている「吐き気」を疑似体験することになるのです。
逃げ場のない「蛍光灯」のリアリズム
『怪物』が自然光や雨を美しく切り取っていたのに対し、本作の学校シーンは徹底して「無機質」です。
教室や職員室を照らす白々しい蛍光灯の光は、影を作ることを許さず、登場人物の脂汗や充血した目、肌の質感を容赦なく暴き出します。この「美しくない映像」こそが、嘘や欺瞞が生々しく進行していくドキュメンタリーのような緊張感を生み出しています。
感想:綾野剛が見せた「善と悪」の境界線
ここからは、個人的な感想を少しだけ。
三池監督は見せ方を知っている。「肌で感じる悪意」の正体
正直、綾野剛さんの演技に驚きました。彼はこれまで、どこか気だるい人物像を演じることが多い印象でした。しかし今作では、高圧的な態度から一転して気後れする中間管理職、そしてどん底へと落ちていく姿までを見事に表現しています。
内容は、是枝監督の「怪物」(坂元裕二オリジナル脚本)との類似点が多々あり、「?」の連続でしたが、三池監督は見せ方を知っています。人間が無意識であらわにする悪、その悪を向けられたものにしか、その本質を知ることはできない。この心の機微をじつに上手く映像化している作品です。
見終わった後、あなたは思うはずです。
「ニュースで見た『悪人』を、私はなぜ信じてしまったんだろう?」と。
本作は、『流浪の月』のように「誰が本当の加害者なのか?」を観客に問いかけ続けます。
『でっちあげ』の総合評価:★4
でっちあげ
まとめ:これは情報リテラシーへの警鐘だ
映画『でっちあげ』は、単なる実録サスペンスではありません。
SNSで誰もが誰かを断罪できる現代において、あなたが信じている正義は、本当に真実なのか?と問いかけてくる、極めて社会的な作品です。
『怪物』を見て「深かったな」と感じた人こそ、この『でっちあげ』を見てください。きっと、視界がクリアになると同時に、足元が崩れ落ちるような衝撃を受けるはずです。
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