概要
作品情報
- 公開日または配信開始日：2022年10月28日
- ジャンル：コメディ, SF
- カテゴリー：映画
- 上映時間：82分
- 制作国：日本
- 年齢制限：13+
- 出演者： 円井わん（吉川朱海）
- マキタスポーツ（永久茂）
- 三河悠冴（村田賢）
- 長村航希（遠藤拓人）
- 髙野春樹（平一郎）
- 八木光太郎（森山宗太郎）
- 島田桃依（神田川聖子）
- 監督：竹林亮
視聴可能な主なVOD
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見どころ
あなたは “彼女”のSOSに気づけるか？
物語の序盤、主人公たちがタイムループに気づくずっと前から、実は異変を察知していた人物がいます。彼女が発していた小さなSOSのサイン。それは、オフィスの日常に溶け込み、誰もが見過ごしてしまうような些細な行動です。あなたはこの伏線に、そして現代社会に潜む「見えない声」に気づくことができるでしょうか。
あなたはどの登場人物に “自分”を見るか？
この映画の登場人物は、あなたの職場にもいる「あの人」かもしれません。上昇志向の強い主人公、事なかれ主義のベテラン、やる気のない若手、そして話の通じない上司。しかし、ループを繰り返す中で彼らの意外な一面が見えてきます。あなたは誰に共感し、誰の姿に自分自身を重ね合わせるでしょうか。
もし「無限の月曜日」が手に入ったら、あなたはどう使うか？
締め切りも、失敗の恐怖もない、永遠にやり直せる一週間。もしそんな時間が手に入ったら、あなたはどうしますか？スキルアップに励みますか？それとも、諦めていた夢に再挑戦しますか？この映画は、観る者すべてに「時間の使い方」という根源的な問いを、ユーモアと共感をもって突きつけてきます。
評価
総合評価
出典：mondays-cinema.comMONDAYS／このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない
感想
うずひこ正直に告白します。私も最初は「またよくあるタイムループものか」と、少し斜に構えて観始めました。しかし、物語が進むにつれて、その考えは心地よく裏切られます。この作品の凄みは、SF的な問題を「プレゼン」や「上申」といった、極めて現実的なビジネススキルで解決しようと試みる、そのユニークな発想力にあるのです。ループの原因、キャラクター設定、全てが私たちの知る「職場あるある」と地続きで、だからこそ非現実的な状況が妙なリアリティを帯びてくる。この絶妙なバランス感覚には、もはや敬服です。「なぜ今までこのアイデアに気づかなかったんだ！」と。あなたもきっと、この発想力の勝利に唸るはずです。
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ネタバレ・トリビア情報（クリックで展開）
知られざる物語の裏設定と社会風刺
物語の重要な合図となる「鳩」。しかし、記憶を定着させるために大きな物音に反応するという儀式を最初に考案したのは、主人公たちではなく、実は経理・総務担当のベテラン女性社員でした。彼女は誰よりも先にループに気づいていたものの、周囲に信じてもらえなかったのです。この設定は、職場で軽視されがちなベテランの知見や声が届かない、というコミュニケーション不全を巧みに描いています。また、チームがタイムループという超常現象を解決するために、現実の企業論理である「上申制度」を用いてプレゼンする展開は秀逸な風刺です。どんな異常事態でさえ、官僚的な手続きを踏まなければならないという企業社会の構造そのものが、彼らを閉じ込める壁であり、同時に脱出のための唯一の言語でもあるという皮肉が込められているのです。
制作陣の異常なこだわりが生んだリアリティ
この物語の原点は、企画担当者が実在の上司の「今日もめちゃめちゃ仕事するぞ！」という全く同じツイートが繰り返されるのを見て、「上司だけタイムループしているのでは？」と冗談を言ったことでした。この日常に根差した着想が、作品全体の共感性を高めています。そのリアリティへのこだわりは制作の細部にまで及びます。ループの中でスキルアップしていく様子を示すため、部長の漫画原稿やデザイナーのPC画面は、ラフ案から完成版まで複数バージョンが用意されました。オフィスのセットは、元は綺麗なスタジオにわざと書類や私物を散乱させ、「デスマーチ」と呼ばれるほどの多忙さを視覚的に表現しています。さらに、クライアント案件のブレインストーミングシーンでは、40個以上ものリアルなキャッチフレーズが考案され、ホワイトボードを埋め尽くしています。これら一瞬しか映らないディテールへの執着が、世界観に圧倒的な説得力を与えているのです。
ラストシーンの深層分析 まとめ
ラストシーンの描写
タイムループが壊れたはずのオフィスで、主人公の朱海（あけみ）たちは和やかに談笑している。しかし、最初にループに気づいたメンバーの一人、遠藤がいない。彼の不在を村田は「はじめの頃、さっさと運命の人探しに行っちゃったんですよ」と、ループを経験した者特有の奇妙な言い回しで説明する。朱海がPCでスペイン・ロンダの写真を見ていると、携帯が振動する。画面を見た彼女の表情が固まったところで、映画は終わる。
解釈1：新たなループの始まり（循環理論）
これは、一つのループが終わると同時に、別のキャラクターを中心とした新しいループが始まったとする解釈です。
- 中心人物と原因: 今度は恋人がいないことを後悔していた遠藤がループの中心。
- 合図: 部長のループでは「鳩」が合図だったように、今回のループでは「スペイン・ロンダの写真」が新たな合図となっている。
- 伏線: 村田の「はじめの頃」という言葉や、朱海が凍りついた表情は、彼女たちが再びループに囚われたことに気づいた瞬間を示唆している。
解釈2：希望に満ちた結末（エピローグ理論）
これは、ループは完全に終わり、登場人物の成長を描いた希望のある結末だとする解釈です。
- 遠藤の行動: 彼はループでの経験に触発され、過重労働のサイクルを自ら断ち切り、仕事を辞めてスペインで幸せを追求している。写真は元同僚への近況報告。
- 村田の言葉: 「はじめの頃」という発言は、今では遠い過去となったループの経験を懐かしむ表現に過ぎない。
- 朱海の表情: 恐怖ではなく、遠藤の自由な生き方に感銘や羨望を覚えた「驚きを伴う感嘆」の表情。
結論：ラストシーンは「解放と再生」の結末であり、同時に「新たなサイクルの始まり」を示唆する、意図的に設計された二重構造のエンディングである
このラストシーンは監督のテーマ性、脚本家の裏設定、そして複数の考察を総合的に分析した結果、本作のラストシーンは単一の解釈に収束するものではなく、少なくとも二つの重要な意味合いを同時に内包する、開かれた結末（オープン・エンディング）として巧みに作られています。
1. 物語の結末としての「人間的成長による解放と再生」
ラストシーンは、タイムループという非日常を乗り越えた登場人物たちの物語の明確な「結末」です。
- テーマの成就: 監督が最も伝えたかった「“今”と向き合い、仲間と協力することの重要性」というテーマが成就した瞬間です。バラバラだったチームが一体となり、互いを思いやるまでに「人間的成長」を遂げた結果として、彼らはループからの「解放」という報酬を得ました。
- 希望の象徴: 和やかな雰囲気でPCを囲む彼らの姿は、ループを抜けた先の希望に満ちた新しい日常、すなわちチームの「再生」を象徴しています。これは、観客がカタルシスを得られる、感動的なハッピーエンドとしての役割を果たしています。
2. 人生のメタファーとしての「新たなサイクルの始まり」
一方で、ラストシーンは人生や仕事のあり方そのものを描く、より大きな視点での「始まり」を示唆しています。
- 脚本家の裏設定: 脚本家・夏生さえり氏が明かした「遠藤のスペインの恋人」という裏設定と、それを暗示するラストの描写（ロンダの風景、遠藤の不在）は、「遠藤の“やり残したこと”を解決するための新たなループが始まった」という解釈を強力に裏付けます。
- 普遍的なテーマ: これは、「人生とは、一つの課題（ループ）を乗り越えても、また次の課題（ループ）が現れることの連続である」という普遍的なメタファーとして機能します。しかし、それは決して悲観的なものではありません。一度ループを乗り越え成長した彼らなら、次のループ（課題）もきっと乗り越えられるだろう、という前向きなメッセージが込められています。
総括
映画「MONDAYS」のラストシーンは、「部長の物語」としては完結し、「遠藤の物語」としては始まるという入れ子構造になっています。観客は、主人公たちが得た解放感に満足すると同時に、これからも続いていく彼ら（そして私たち自身）の仕事や人生のサイクルに思いを馳せることになります。
監督がラストの明確な答えを一般に公表せず、Blu-rayのオーディオ・コメンタリーという特別な場所に留めているのは、この豊かな解釈の余地こそが作品の最後のメッセージであると考えているからに他なりません。
まとめ：『MONDAYS／このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』をVODで楽しもう！
映画『MONDAYS』が私たちに突きつけるのは、「退屈な日常は、本当に退屈なのか？」という問いです。同じことの繰り返しに見える毎日も、ほんの少し視点を変え、仲間と協力すれば、そこは無限の可能性を秘めた実験場に変わるのかもしれません。この作品は、普遍的なテーマを「タイムループ×オフィス」という卓越したアイデアで調理しきった、まさに発想力の勝利です。
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うずひこ最後までご覧いただきありがとうございました！
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