概要
作品情報
- 公開日または配信開始日:2025年1月31日
- ジャンル:ドラマ
- カテゴリー:映画
- 上映時間:107分
- 制作国:スペイン、アメリカ
- 年齢制限:G(どなたでも視聴可能)
- 主な出演者:ジュリアン・ムーア
- ティルダ・スウィントン
- ジョン・タトゥーロ
- 監督:ペドロ・アルモドバル
視聴可能な主なVOD
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見どころ

「尊厳ある死」を巡る、静かで過酷な選択
本作の核となるのは「尊厳死」という重いテーマです。病の苦しみから解放されるために自ら死を選ぶマーサと、その親友の願いを受け入れようと葛藤するイングリッド。倫理的にも感情的にも複雑なこのテーマを、アルモドバル監督は決して説教的にならず、二人の女性の静かな対話と選択を通して描きます。観る人それぞれに「自分ならどうするか」を問いかける、深遠な物語です。
親友の最期の願い。試される友情の本当の意味
40年来の親友であるマーサとイングリッド。しかし、マーサからの「最期に付き添ってほしい」という願いは、イングリッドにとってあまりにも過酷な試練となります。彼女たちの間には、信頼だけでなく、苛立ちや恐怖といった複雑な感情が渦巻きます。二人の名女優が演じる、緊張感に満ちたやり取りは圧巻の一言。友情の本当の意味が、極限の状況下で試されます。
嘘によって断絶した母娘の絆。死してなお続く、愛と和解の物語
マーサは、娘ミシェルとの間に「父親の死」に関する大きな嘘という壁を作ってしまいました。そのことが、母娘の間に深い溝を生んでいます。死を目前にしたマーサが、友であるイングリッドに託した想いとは。そして、残されたイングリッドが、マーサの遺志を継いでミシェルと出会うとき、物語は新たな局面を迎えます。母から娘へと受け継がれる愛と、悲しみの先の和解が胸を打つでしょう。
原作の静かな思索から映画の情熱的なスペクタクルへ:『What Are You Going Through』と『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』の比較
シグリッド・ヌニェスの高く評価された小説『What Are You Going Through』と、それを原作とするペドロ・アルモドバル監督の映画『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』。両作品は同じ感動的な物語を核に持ちながらも、その表現方法と芸術的ビジョンにおいて著しい対照を見せています。小説が静かで哲学的な内面への旅であるのに対し、映画は鮮烈な色彩と感情で彩られたドラマへと変貌を遂げました。ここでは、二つの作品の共通点と相違点を分析し、その核心に迫ります。

物語の共通点:揺るぎない友情の依頼
両作品の物語は、心を揺さぶる一つの依頼から始まります。末期の病を患う友人が、主人公である女性に、自らが計画する最期の時にそばにいてほしいと頼むのです。この重い依頼は、物語全体の触媒として機能し、友情、死、そして倫理的責任とは何かという根源的な問いを投げかけます。興味深いことに、どちらの作品でも、主人公はこの依頼を受ける最初の選択肢ではなかったことが明かされます。この事実は、依頼の困難さと、それを受け入れるという決断の重みを一層際立たせています。
相違点:静寂から情熱への変容
アルモドバル監督は、原作の核を尊重しつつも、自身の作家性を存分に発揮し、物語を大胆に再構築しました。その違いは、物語の構造、登場人物、テーマ、そしてスタイルに明確に表れています。
物語の構造:思索からドラマへ
- 小説: ヌニェスの小説は、明確なプロットよりも、語り手の内面的な思索や、様々な人物との対話の連なりを重視した、瞑想的で逸脱的な構造を持っています。物語は「思索のコレクション」とも評され、静かに展開していきます。
- 映画: 一方、アルモドバルは物語的な緊張感を高めるため、具体的な劇的イベントを加えています。例えば、安楽死のための薬を忘れてくるというハプニング、友人の死を誤認してしまうシーン、さらには主人公が警察の捜査を受けるという展開などが追加され、物語はより線形的でドラマティックなものになっています。
登場人物:無名から固有の人格へ
- 小説: 原作の登場人物は、主人公も死にゆく友人も、共に無名の「作家」です。この匿名性により、彼女たちは特定の個人を超え、読者が普遍的な経験として物語を受け入れることを促します。
- 映画: 映画では登場人物に名前と具体的なアイデンティティが与えられます。主人公は作家「イングリッド」(ジュリアン・ムーア)、そして死にゆく友人は戦場カメラマンの「マーサ」(ティルダ・スウィントン)として描かれます。特に「戦場カメラマン」という職業は、何度も死に直面してきた彼女が自らの死をコントロールしようとする決断に説得力を与えています。
テーマの再編成:倫理的証人から政治的主張へ
- 小説: 原作における友情の核は、シモーヌ・ヴェイユの哲学に影響された「証人となること」という静かで倫理的な行為にあります。死に関しても、それは個人的で哲学的な探求として描かれています。
- 映画: 映画は、友情をよりロマンチックで情熱的な魂の絆として描き、「尊厳をもって自らの人生を終える権利」を主張する、明確で政治的な立場を取ります。アルモドバル監督自身が「これは安楽死を支持する映画だ」と述べている通りです。
スタイル:内面の散文から外面の美学へ
- 小説: ヌニェスの文体は、抑制的で飾り気がなく、事実をありのままに述べるスタイルです。読者は語り手の静かで内面的な意識を通して物語を体験します。
- 映画: アルモドバルは、彼のトレードマークである視覚的な豪華さを全面に押し出します。豊かな色彩設計、特に生と死を象徴する赤と青の使い方、完璧に設えられたセットや衣装は、感情を外面化し、陰鬱なテーマとは対照的な美の世界を創り出しています。
まとめ:二つの傑作、それぞれのビジョン
シグリッド・ヌニェスの小説とペドロ・アルモドバルの映画は、単なる原作と脚色の関係を超え、それぞれが独立した価値を持つ芸術作品として存在しています。ヌニェスの『What Are You Going Through』は、言葉の力を通して、読者を静かな内省へと誘う「瞑想されるべき思索」です。一方で、アルモドバルの『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』は、視覚と感情に訴えかけ、観る者を圧倒する「感じられるべきスペクタクル」と言えるでしょう。この変容は、脚色の失敗ではなく、アルモドバルという稀代の映画監督が、原作の魂を自身の映画的言語へと見事に翻訳した結果です。文学と映画、それぞれのメディアの特性を最大限に活かした二つの作品は、同じ物語からいかに異なる芸術が生まれうるかを見事に示しています。
評価
総合評価
出典:warnerbros.co.jpザ・ルーム・ネクスト・ドア
感想

ペドロ・アルモドバル監督といえば、物語を鮮やかに彩る独特の色使いが印象的です。特にペネロペ・クルスとのタッグ作には心に残る作品が多いですよね。
本作が扱う「尊厳死」というテーマは、ともすれば全体が暗いトーンになりがちですが、そこはさすがアルモドバル監督。インテリアや衣装の隅々にまで散りばめられた鮮やかな色彩が、マーサの選択をどこかポジティブで、力強い意志の表れとして感じさせてくれました。多くの国では法的に認められていない行いですが、「耐え難い苦痛を家族に見せたくない」「迷惑をかけたくない」という切実な想いは、一つの愛の形として尊重されてもいいのではないか…そんなことを深く考えさせられる一本でした。
こんなあなたにおすすめ!

考えさせられるヒューマンドラマが好きなあなた

友情、親子愛、そして「死の自己決定権」という深遠なテーマにじっくり向き合いたい方に。
ジュリアン・ムーアとティルダ・スウィントンの演技を堪能したいあなた

現代を代表する二人の名女優が織りなす、繊細かつ緊張感あふれる魂のぶつかり合いは必見です。
終末期医療や介護の現場で、倫理的ジレンマと向き合うあなた

専門職として日々人の「生と死」に寄り添う方にとって、登場人物たちの選択や葛藤は、自身の経験と重なり、多くの示唆を与えてくれるかもしれません。
親との間に、言葉にできないわだかまりや「嘘」を抱えているあなた

本作で描かれる母娘の断絶と和解の物語は、あなた自身の家族との関係を見つめ直すきっかけになるかもしれません。
ペドロ・アルモドバル監督の色彩美学が好きなあなた

重いテーマを扱いながらも、スクリーンを彩る鮮やかな色彩や美しい構図は健在。監督ならではの映像美に浸りたい方におすすめです。
ネタバレ・トリビア情報(クリックで展開)
悲しみのリハーサル:一度目の「死」がもたらすもの
物語の中盤、マーサは「もし朝、寝室のドアが閉まっていたら、私が死んだ合図だ」とイングリッドに告げます。ある朝、恐れていた通りドアは固く閉ざされ、イングリッドは友人の死を確信し泣き崩れてしまいます。しかし、その直後に現れたマーサは、風でドアが閉まっただけだと説明し、これを「本番のための予行演習」だったと語ります。この「偽りの死」は、イングリッドと観客に一度悲しみを擬似体験させる巧みな仕掛け。このリハーサルがあるからこそ、後に訪れる本当の別れの瞬間が、より一層重く、複雑な感情を伴って胸に迫ってきます。
英語の声に宿るスペインの魂:アルモドバルの言語的挑戦
本作は、アルモドバル監督にとってキャリア初の全編英語による長編映画です。過去に短編で英語作品を手がけたことはありましたが、彼にとっては大きな挑戦でした。しかし監督自身はヴェネツィア国際映画祭で「この映画の魂はスペイン語だ」と語っています。これは単なる言語選択以上の意味を持ちます。彼特有のメロドラマ的な演出や文学的なセリフ回しが、英語という異なる言語でどう表現されるのか。本作は、アルモドバルという唯一無二の映画言語が、文化の壁を越えて普遍性を持ちうるかを試す、監督のキャリアにおける重要な試金石と言えるでしょう。
夢の競演は必然だった?奇跡のキャスティング秘話
この「夢のコラボレーション」は、まさに運命的でした。マーサ役にティルダ・スウィントンが決定すると、彼女はすぐさまイングリッド役にジュリアン・ムーアを推薦したといいます。ムーア自身も長年アルモドバル監督との仕事を熱望しており、まさに積年の願いが叶う瞬間でした。奇しくも同じ1960年生まれの二人は、初共演にもかかわらず即座に自然な化学反応を見せ、40年来の親友のような親密さを役に投影したのです。脇を固めるジョン・タトゥーロら実力派俳優も含め、世界中の俳優から敬愛される監督ならではのアンサンブルが実現しました。
ここはNY、でも実は…?セットに隠された監督の美学
驚くべきことに、物語の舞台であるマンハッタンやアップステート・ニューヨークのシーンは、そのほとんどが監督の拠点であるスペイン・マドリードのスタジオで撮影されました。アパートの窓から見えるマンハッタンの摩天楼は、ロケやCGではなく、精巧に作られた巨大な写真背景幕「Rosco SoftDrops」なのです。これは、監督が敬愛する1940~50年代のクラシック・ハリウッド映画の「作り物めいた美しさ」へのオマージュ。現実をリアルに再現するのではなく、感情的な真実を表現するために意図的に構築された美学。この映画の「場所」は、紛れもなく「アルモドバル映画」という特別な空間なのです。
作り物めいた美しさ:人工的に作られた、あるいは作為的に作り出された、自然ではない美しさのことです。人工的な美しさ、あるいは作為的な美しさとも言い換えられます。
「尊厳死は権利だ」監督の揺るぎないメッセージ
ペドロ・アルモドバル監督は、尊厳死というテーマに対し、一切の曖昧さを排した明確な支持を表明しています。記者会見で「この映画は尊厳死を支持するものです」と断言し、法的に整備され、医師が患者を助けることが世界中で許されるべきだという強い信念を語りました。「『私が先に逝けば、がんは私に勝てない』と彼女は言うのです」と監督は語り、マーサの決断を、病への敗北ではなく、自らの尊厳を守るための主体的で力強い闘いとして描いています。この映画は、彼の確固たる信念に基づく、情熱的で政治的なメッセージでもあるのです。
監督が自身を投影したのは死を選ぶ者か、見送る者か
本作は、監督自身の「老い」と「死」を巡る近年の作品群の延長線上にあります。しかし興味深いことに、彼は「私はマーサよりもずっとイングリッドに近い…私は死を受け入れない。私は無神論者だからです」と率直に告白しています。つまり本作は、死を受け入れた監督による勇気の賛美ではなく、監督自身が持ち合わせていないが「賞賛」する視点を、フィクションを通して探求するプロセスなのです。イングリッドを自己の代理人とすることで、自身の恐怖と対峙し、ドラマへと昇華させている。この視点は、本作を極めてパーソナルな作品として浮かび上がらせます。
個人の死と世界の終わり:二つの終末が問いかけるもの
劇中には、地球温暖化による世界の終わりを嘆く、マーサとイングリッドの元恋人ダミアンが登場します。アルモドバル監督は、「死にゆく世界の中で、死にゆく一人の人間の物語」を語るために、このキャラクターを意図的に配置しました。ダミアンの絶望が行動から切り離された言説に過ぎないのに対し、マーサの決断は身体的苦痛から生まれた具体的で真正な行動です。監督はこの対比を通じて、終末に直面した際の尊厳ある態度は、無力な言葉に閉じこもることではなく、たとえ「死」という形であっても、自己の現実に根差した主体的な行動の中にこそ見出される、ということを鋭く示唆しているのです。
まとめ:『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』とVODでエンタメを楽しもう!
ペドロ・アルモドバル監督の最新作『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』は、「尊厳死」という重いテーマを扱いながらも、監督ならではの鮮やかな色彩感覚と、二人の名女優の圧倒的な演技力で、観る者の心を揺さぶるヒューマンドラマの傑作です。
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